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CRMを2倍効かせるマーケティング講座 第14回

静かに普及を始めるデジタルサイネージ

今号はTwitterの躍進やiPadの影響で、昨年に比べてやや話題性も業界の期待も薄くなった感のある(?)デジタルサイネージの今後の可能性についてご紹介いたします。

“新しい媒体”としてのデジタルサイネージ

改めて「デジタルサイネージ」の定義を確認すると、電子看板(=Digital Signage)、つまり従来の印刷物の掲示に変わってディスプレイやプロジェクターによって映像や情報を表示する広告媒体となります。
昨今のデジタルテクノロジーの進化が、この旧来の「看板」というものに、場所や時間帯で表示内容を変えたり、顔認証で年齢・性別に合わせたコンテンツを表示するような無限の可能性を具体的に提示し始めた事から、一気に業界の期待は高まりました。
特に、“新しい媒体”の登場は広告、IT業界にとっては死活問題。
シード・プランニング社の調べでは2015年には1兆円市場になる可能性も示唆されていますから、我先にと取り組むのも当然です。

大型のモノはスクランブル交差点や、駅、空港など、主に人の集まるところに設置され、小型のものはコンビニエンスストアやドラッグストアなどに置かれていたり、もはやそれを見て珍しいと思う消費者も少ないでしょう。
また最近では、ローソンでの試験導入(※1)のように、Felica連携など携帯端末とのインタラクティブ性を持たせるなどした取り組みも発表されています。

ここで大きな飛躍が期待されているのが、「パーソナライズ」と「効果測定」です。
薄型フラットパネルの低価格化や、配信ネットワークの多様化と低価格化、コンテンツ配信のソフト開発等々により、設置コストや運用コストが実用レベルに達しても、どうしても乗り越えられなかった壁が「効果測定」。
一方通行のメディアであり、消費者側が能動的に内容を選択出来ない以上、視聴者属性にマッチしたコンテンツを表示する事や、明確な視聴統計や効果測定の情報が取得できませんでした。
必然的に非常に多数の目に触れる場所か、膨大なスクリーン数で展開しないと効果が判断できにくい、費用対効果の図りにくい媒体になっていました。
ちなみに、多店舗展開している企業などが設置したサイネージを自社メディア化した例がありますが(Owned Media)、これも想定よりメーカーからの出稿が集まらない、エネルギー消費が大きい、などの理由で見直しがかかった例はよくあります。

デジタルサイネージとしてのiPad

このあたりの経緯は、実はWebマーケティングの歴史と酷似しています。
メールマーケティングも、黎明期はやはり「DMより安価」「担当者がいつでも配信できる」等々の理由で採用される事例が多く存在しましたが、今では「開封/クリック履歴」の取得や「コンテンツリコメンド」など、誰がいつ、何に反応したのかを明確に探ろうとする企業が大多数です。
「Webサイトは24時間稼働する営業マンです!」というような宣伝文句も昔はよく見かけましたが、今や時代はデータマーケティングの時代です。

様々な実証実験からある程度有効な結果が出始めてはいますが、「パーソナライズ」を不特定多数に向けて行うには「携帯連動」など、個を特定しやすい端末と連動した仕組みが現時点では最も近道となっています。
そんな渦中に発売されたiPadが、“新しい媒体”として静かに注目を集めています。

発売前からカタログやマニュアル等のビューアーとして注目していた企業も多いと思いますが、アパレルの「TOMORROWLAND」や「FRED PERRY」が採用したようなカタログ兼サイネージといった提案(※2)から、(例えば)番組連動アプリによって各家庭のiPadにサイネージを表示・・・というようなアイデアに取り組む企業もいるようです。

ここまでくると、かなりパーソナルな情報にリーチしている事に気が付きます。
ここで言う「パーソナル」というのは、必ずしも個人の特定を意識したものではなく、個の履歴を記録(取得)出来るか否か、を指しています。
前回のコラムにもありましたが、ソーシャルCRMの領域では、嗜好性と行動履歴が重要なマーケティングデータとなります。

パーソナル化するマスメディア広告

現状についての記述が長くなりましたが、先日GoogleTVも発表され、Apple社も近々AppleTVのiPhoneOS搭載版を投じる?という噂もまことしやかに噂される中、次なる主戦場は「茶の間のテレビ」という、これまた過去の取り組みが再燃する事は必至です。
ただ、やはりTVに直接触って操作する、リモコン付きキーボードで操作、というのは現実的ではありませんから、ここでもデジタルサイネージと同様、携帯、あるいはそれに近しいパーソナルな端末が間に介在する可能性が非常に高いと思われます。

今のいわゆる“ガラケー”(※3)でもTVのリモコン機能が付いていたりするくらいですから、AndroidやiPhoneなどアプリを(ある程度)自由に設計できる端末なら、Wi-Fiと端末に適した優れたインターフェイスで“広告”にリーチする事が可能でしょう。
例えば、最近話題の「Radiko」や「Suono Dolce」(※4)なども新しい取り組みです。
利用開始にあたって簡単な属性情報の入力が必要(※5)であったりと、今までのラジオメディアでは不可能な要素です。

大手による実証実験と本サービス化の取り組みも気になるところですが、スマートフォンやiPadのような“中間の”端末に次世代デジタルサイネージのビジネスモデルに、何かヒントがあるのかもしれません。

(※1)
キャンペーン情報などを形態端末に配信し店舗へ誘導し、店頭のサイネージでより詳細の情報を伝えるとともに、FeliCaR端末からクーポンなどを提供する提供するサービス。
参考URL : http://www.adk.jp/news/2010/100202.html 別ウィンドウで開く

(※2)
アップル製品をカタログ閲覧端末やデジタルサイネージとして利用するシステム。
参考URL : http://www.maccare.jp/ipad/ 別ウィンドウで開く

(※3)
「ガラパゴス携帯電話」の略称。ガラパゴス諸島において隔絶された環境が独自の生態系を形成したように、日本の携帯電話や携帯文化が独自の発展をとげ、独自のマーケットを形成している現象を比喩表現したもの。

(※4)
インターネットでラジオを聴くことができるサービス。
参考URL : 「Radiko」 http://radiko.jp/ 別ウィンドウで開く
       「Suono Dolce」 http://www.suono.jp/ 別ウィンドウで開く

(※5)
「Suono Dolce」の場合

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