CRMを2倍効かせるマーケティング講座 第11回
店頭での販促施策を定着させるには
「マスマーケティングからの脱却」と「One to Oneマーケティング/CRMへの転換」が叫ばれて久しいですが、近年モバイルを生かしたマーケティングに対して消費者の認知が高まり、マーケティング施策やCRMの実施は一気に裾野が広がっています。決済機能を持たない安価なフェリカリーダーが登場し、それらを生かしたマーケティング活動での成功事例なども聞かれ始め、マーケティング施策やCRMの実施は大手企業だけが取り組めるものという認識から、一気に中小企業に広がるきざしが見られています。
ただ、華々しい成功事例の影で、先行して販促ツールを導入したにも関わらず、なかなか定着しなかったり、トラブルにより利用が拡大しないという話も耳にします。販促ツールの導入が成功する企業と成功しない企業では、一体何が異なるのでしょうか。導入に成功している企業に共通する、いくつかのポイントとなる要素をピックアップしてみました。
課題となるのは「現場との温度感」。解消するには
店舗を持つサービス業に限らず、マーケティング部門と営業現場、店舗現場とは新しく取り組むマーケティング施策や導入する販促ツールに関して少なからず温度感に差が存在します。おおむね営業現場では、マーケティング現場が持ち込む企画や施策については懐疑的であったり批判的であったりすることが常です。特に店舗の場合、現場を一番良く知っているのは自分たちだという現場側の自負と、これまで成功体験のない「モバイル」を利用したマーケティング施策であること…など、現場とマーケティング部門とで対立がおきやすい要素が揃っています。
こういった対立を未然に防ぐためにも、プロジェクトチームに企画段階から現場スタッフや店舗現場を熟知したメンバーを巻き込んだり、実現したい販促内容に合わせて、それらに詳しいスタッフからヒアリングすることなどが重要になります。イメージとしては最近まで現場におり、マーケティング部門に配属されたスタッフや、モバイルを普段からよく利用する若い世代や女性スタッフなどがいるとより現場と一体感を持ったマーケティング施策になると思います。
初めて取り組むのであれば極力シンプルに
新しい販促ツールをいざ導入する段階になって、「あれも、これも」ではないですが、追加要望が多くなっていくケースはどこの企業でも見られます。こういった追加要望自体はいいのですが、重要なのは最初から何でも詰め込み過ぎないことです。例えば、店舗での携帯販促の場合、会員登録時に長々とアンケートに回答させたり、会員登録の手順とポイント付与の手順が別々だったりするケースなどが見られます。
マーケティング部門としてはできるだけ消費者の声を把握したいがために、いろいろと気を回したくなるものですが、最初から複雑な事、特に店舗現場や消費者に負担を強いるような形の企画はうまくいかないのが通説です。はじめはスモールスタートで、現場のオペレーションを回すことを最優先に設計し、現場の運用が落ち着きだしてから徐々に項目をふやしたり、ポイントなどの特典をつけたりするほうがうまくいく傾向にあります。
そういった意味でも、のちのちに運用や項目の変更があっても比較的柔軟に対応しやすいSaaS/ASP型の販促ツールを導入することが望ましいでしょう。
詳細なマニュアル/ルール作りは必須
新しい販促ツールを導入する際に、本部から現場にモノを提供するだけでは不十分です。どんなタイミングで、どんなトークを添えて顧客に案内するのかなど、現場スタッフにしっかりレクチャーの場を設けなければ活用されません。
例えば、どんなに工夫をこらし、素晴らしい特典のある携帯サイトを構築したとしても、レジ横にPOPを置いているだけでは不十分で、店員がきちんと案内できる/できないでは販促ツールの定着度がまったく変わってきます。
では「案内してください」とマーケティング部門から現場に通達するだけで十分でしょうか。QRコードからサイトに訪問し会員登録を促すという単純なフローだけでも、消費者の疑問・質問に現場がしっかりと回答できるように、マニュアルを配布し説明を行わなければしっかり定着することはありません。「QRコードからサイトに訪問し空メールを送信する」というそれだけのフローでも、QRコードを立ち上げるのはインターネットのメニューからなのか、カメラ機能を立ち上げるのか、アプリからバーコードリーダーを立ち上げるのかなど、キャリアによって操作方法がまったく異なります。空メールについても、ドメイン指定受信を解除する方法やメールが届かない場合など、様々なケースに備えてしっかりとマニュアルを整備する必要があるのです。
また、会員登録を案内するタイミングについても、来店時に案内するのか、お水を置いた時なのか、メニューを伺う時なのか、それとも会計のタイミングなのか・・・など。現場のオペレーションをしっかり理解した上で、最適なプランをマーケティング部門がきちんと用意する必要があります。「こんなことまで・・・」「こういう細かい指示は、本部が指定するのではなく、現場で考えて実施すればいいのでは・・・」という意見もあるかもしれません。
しかし、自分で考えて創意工夫ができる店舗や店長・スタッフもいるでしょうが、日々の業務に忙殺されている中で、全ての店舗/スタッフが同じレベルで実行できるわけではありません。販促ツールを作ったマーケティング部門が責任を持ち、施策の意図を説明した上でオペレーションまで設計し、現場が実施しやすいようにレクチャーをする必要があります。
モデル店舗を作る・成功体験を共有する
最後のポイントは各店舗での取り組みや会員獲得数、成功事例などを、定期的に店長会議などのリアルな場で共有する仕組みを作ることです。優秀店舗については数字だけでなく取り組みなどを発表してもらうことで、より実感のこもった成功事例の共有が実現します。またはマーケティング部門が息のかかった『モデル店舗』を作り上げ、そこで徹底的に成功ノウハウを蓄積し、社内に共有させるのです。
このように、社内全体に販促やCRMについての意識を徐々に高めていくことで、現場でのモチベーション向上に努めていくことができます。最終的には特別に意識することのない、「インフラ」の一部だと現場に認識させることができれば、販促ツールはしっかりと定着し、より高度なマーケティング施策の実施も含めたより高いステージのCRMに取り組むことができるでしょう。
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